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「ギアチェンジ」は長続きのコツ


野球に興味のない方には申し訳ありませんが、今年の日本シリーズをラジオで聴いていて、なるほどと思うことがありました。


それは、今年の長いペナントレースを無敗で終えた楽天の田中投手のことです。


彼が投げる試合では、アナウンサーがことあるごとに「ランナーを出してから、田中投手はさらにギアが一段上がりますね。このギアチェンジが今期の田中の真骨頂です」と繰り返していたのです。


確かに、田中投手はランナーを出さない完璧なピッチングが光るというタイプではありません。彼の持ち味は、ランナーを出してから、投げる球のスピードが一段と速くなり、コントロールがバッターにとって厳しいコースに決まって、打ちやすいあまい球がほとんどなくなるというところにあります。


実際、日本シリーズでは田中投手よりももっと得点を許さず、完璧なピッチングをしていた楽天の投手もいましたし、最優秀選手にはそういう人が選ばれました。


しかし、春から秋までの長い期間にたくさんの試合をこなしていく中で一度も試合に負けなかったという偉業を遂げたのは、この田中投手であり、だからこそ注目され、賞賛されるのです。


味方がそれだけ得点してくれたからこそ勝てたという、運のよさもないわけではありません。けれども長い期間を大きく調子を崩さずに投げ続けられたというのは驚異的な安定感といっていいでしょう。


その安定感を支えたひとつが、この「ギアチェンジ」にあるのではないでしょうか。


「何ごとも全力投球」というのは理想ですが、短期間ならともかく、長期間や日常的ともなると私たちの体は耐えられなくなります。


そこで無理をしてしまうと、体を痛めたり、調子を崩したりして、スポーツ選手ならスランプにおちいってしまうわけです。


それをうまくかわすコツが「ギアチェンジ」です。


必要なときに必要なだけのエネルギーを注いで、ここぞというときには全力投球ですが、それを過ぎれば、再び力をゆるめて様子を見る。


力をゆるめるのは油断することではありません。ここぞというときに全力投球できるためのエネルギーを蓄え、逆に油断を減らすことにつながるわけです。


こうした、状況に合わせた「ギアチェンジ」はスポーツだけではなく、仕事や家事、育児などにも当てはまる、安定した長続きのコツといえるでしょう。


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