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きりのない想像@「あの時こうしていれば・・・」
2022/03/20
うつ病や不安症の回復には、休息とリラックスが大切ですが、「無理を避けて体を休めているのになかなか良くならない」という人も多いようです。
そういう方々に「心の中も休めていますか?」と聞くと、「いろんな思いがグルグルして、休むどころではありませんね」ということがよくあります。
とりわけ、心の中、頭の中は、体を横たえていてもいくらでもフル回転できてしまうので、休めるのはとても難しく、やっかいなものなのです。
そこで、これから何度かに分けて、頭や心を消耗させる「きりのない想像」を掘り下げてみたいと思います。
初回の今回は「もしあの時こうしていれば・・・」という「過去の失敗や後悔、怒り」についてです。
このタイプは二重、三重に消耗を引き起こしてしまうので、とても苦しく、疲れてしまうものです。これだけで食欲がなくなり、不眠も加わって、うつ病になってしまってもおかしくありません。
何しろ、過去の出来事を「もし違っていたら」と想像するだけでも、無数のケースがあって、それだけできりのない消耗に入っていってしまいます。
その上、たいがいが「あの時こうしていれば良かったのに、どうして私はできなかったのだろう」という後悔の念にさいなまされるので、もうすぎてしまってどうすることもできないことに、自分で自分を責め、逃げ場のない苦しみにさらされます。
そして、中には「あの人があんなことをしなければ良かったのに」という、ほかの人への怒りも重なることがあり、それとても今や怒りの相手がいなくなっていたり、今更蒸し返しても相手には何のことやらわからないといった状況で、ただモンモンとした怒りの中で疲れだけがたまっていってしまうのです。
そもそも、「過去のことは変わらないのだから、考えても無駄ですよ」と言われても、そんなことは百も承知。なのに、こうした思いや考えが何度も、何度も、それこそグルグルと回り続けてしまいます。
では、どうすればこの消耗や苦しみが薄らいでいくのでしょうか?
魔法のような解決法があるわけではありませんが、まずは人に話すことだと思います。それも、何度も繰り返し話すことができると、少しずつですが、話している自分を外から眺めるような、少し引いてみている自分が強まっていきます。
それと同時に、悔やんだり、悲しんだり、絶望したり、怒ったり、という生々しい感情も吐き出され、涙も出たりして、心の中にたまった重苦しさが、回を重ねるごとに軽くなっていきます。
そうやって気が済むまで何度でも話せる場があるだけで、安心できるのか、ゆとりができてくるのかわかりませんが、気持ちがやわらいでいくことがよくあるのです。
大切なのは、「気が済むまで」や「あきらめがつくまで」を、急かすことなく、その人のペースで進めていくことです。
そして、もうひとつ助けになると思うのは、今現在の暮らしを、少しでも心地よく、ゆとりのある、満たされたものに近づけていくことです。
家庭や仕事のストレスを少し減らすことができたり、眠りが少し深くなって疲れがやわらいだり、体が少しほぐれてラクになったり、好きな音楽や食べ物に出会ったり、ちょっと心をなごませる草花や生き物にふれてみたり、というほんのわずかなもので構いません。
そうやって、今現在の自分がほぐれ、ラクになり、ゆとりが出てくると、自然と「まあ、いいか」という思いが強まっていくのです。
もし、「どんなことをするとラクになるかな?」というふうに、頭を今現在に向けられたら大成功だと思います。
何しろ、その間は頭を過去から解放させてあげられるわけですから!
最後にもうひとつ付け加えておきたいのは、どんな過去でも、「そのときのあなたは、できる限りのことをやっていた」、「よく、頑張ったよね」ということです。
後になって、今はその結果がわかっているから、後悔や怒りが感じられるわけで、その結果を知らない当時の自分は、限り有る状況の中で、最善と思えることを一生懸命やっていたのです。
そこは本当にしっかりとほめてあげてほしいのです。
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