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大きな失敗ほど反省しない

2016/09/20
先日、ラジオで女性棋士が「勝った時には専用のノートに対局のポイントやそのときの心理状態などを細かく書いて、振り返っているんです。」と話していて、「なるほどさすがだな」と感心して聞いていると、聞き手のアナウンサーが「それでは、負けた時もさぞかし細かく書くんでしょうね。」と、当然のように聞き返していました。


すると、女性棋士が「負けたときは、ほとんど書きません。」と答えていて、一瞬私は「えぇっ!?」と思ったけれど、「なるほど、これがプロなんだな」と一段と感心してしまいました。


プロ棋士といえば、一局ごとの勝ち負けがすべてで、負けた時の悔しさや精神的なショックは並々ならぬものがあるのだろうと思うのです。


私たちが気晴らしで将棋やゲーム、あるいはスポーツの試合をするのとはわけがちがいます。


そんな負けた時に、プロがやるのは、悔しさ、悲しさ、怒り、などの傷ついた思いをいろんな形で吐き出した後、サッサと「忘れてしまおう」ということなのでしょう。


確かに、敗因を分析して「いかに負けたか」を繰り返し頭にインプットするよりも、「いかに勝ったか」をインプットするほうが、次の対局にいい影響を及ぼしそうです。


五郎丸の祈るようなあのポーズも、確か「うまくゴールに入ったイメージ」を頭の中で再現しやすくする動きだと聞いたことがあります。


しかし、学生時代にいろいろと失敗やミスをしたときに、先生から「何をやっているんだ!ちゃんと反省しろ!」と繰り返し言われたような気がします。


「過ぎたことだから、早く忘れなさい」なんて言われたことは、まったくといっていいくらいなかったように思うのです。


だから、私たちは「どんな失敗でも、また繰り返さないように反省し、対策を練っておかなければいけない」と知らず知らずのうちに反射的に考えてしまうのかもしれません。


練習試合や研修中など、取り返しがつく小さな失敗の場合は、試行錯誤して身に着けていくために、反省するのは必要なことだと思います。


けれど、ここぞという大きな試合や大事な場面、精神的ショックがとても大きな場合は、


「反省するより、忘れなさい」


というほうが、適切な対応だと言えるでしょう。


と思って学生時代を思い返してみると、県大会やインターハイといった、大きな試合で負けたときには、いつもの怖い監督や引率の先生も、言葉少なく、心なしか優しかったような気がしますね。


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