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無理のない変化をめざす
2010/08/30
うつや不安、人間関係の悩みなどで「こうできたらいいのに」あるいは「こう言えたらうまくいくのに」ということをよく耳にします。そして、「どうすればできるようになるか?」や「どうやったら言えるようになるか?」をまずは考えていくことになります。
でも、たいていは簡単にできることはなく、「やればいいとわかっているけど、できないのよね」という所に戻ってきてしまいます。そして、「やっぱり私はダメな人間なんだ」と元々の悩みに上乗せして、自分を追い詰め、苦しめてしまうことが少なくありません。
しかし、考えてみれば、簡単にできることならサッサとやってしまって悩みにはならないはずです。なかなか変えられないことだからこそ、悩みとなって残っているわけで、簡単に変えられないのは当たり前なのです。
それなのに、自分の頑張りが足りないからと無理に頑張って変えようとするとどうなるでしょうか?
頑張りは一時的にしか出せませんから、変化は長続きせず元に戻ってしまいます。悪くすれば、頑張った無理が心身を消耗させて、うつや不安を強めてしまう場合もあります。
では、どのようにすれば無理をしないで変えていくことができるのでしょうか?
それにはまず「どんなふうに変えられないのか?」を細かく見て、確かめていくところから始めます。
不思議に思えるかもしれませんが、「どこを変えるか?」ではなく、「どこが変えられないのか?」を見ていくわけです。
無理をしないということは、変えられないところは、そのままにして、変えやすいところを探して、変えていくことなのです。そのためには、「どこがどう変えにくいのか?」を細かく見ていくことが役に立ちます。
例えて言えば、道を高い崖に阻まれた時に、「お腹がへって登る元気が出ないのか?」「靴がすべってうまく登れないのか?」「手や足をかけるくぼみが見つからないのか?」などを検討して、明らかにしていくということです。
そうやって「どこが変えられないのか?」を見ていくと、最初は全部が変えられないと思っていたものが「この部分が変えられないのだな」と次第に細かく見えてきます。道を阻んでいるものが、より小さく、より具体的に見えてくるわけです。
こうした繰り返しの中で「これくらいなら、あまり無理をしないでも変えられるかもしれない」というものが見えてくる場合があります。
また、「これは変えられないけれど、これなら変えられる」と別の方法が見えてくる場合もあります。
そんなふうにして、無理なく変えられる道を一緒に探していくというのがカウンセリングなのです。
人が今まで身につけてきた様々なものを変えていくことは、とても大変なことです。ですから、なるべく無理をかけずに、少ない変化で悩みを解決していくことが大切になるのです。
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