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「調子の波」は回復のしるし

2009/06/24
「調子のいい時はあるけれども、それが長続きしなくて…」という言葉は、うつ病の方から本当によく聞かれます。そういう状態が数年続いていて、「もう治らないのでは?」と将来に希望が持てなくなったり、「どうしていいのかわからなくなって」と相談される人も少なくありません。


でも、思い出してください。本当に具合が悪かった時期は体を起こすこともままならず、何かをやろうという気力がほとんど出てこなかったのです。


そんな中で気力が少し戻ってきて、身の回りのことや家事が少しできるようになったのはとても大きな変化です。消耗しきっていた心身のエネルギーが少したまり始めた証拠なのです。ですから「調子の波」が出てきたら、まず順調に回復していると思ってください。


次に「調子の波」が出てきてからのテーマは「活動と休息のバランス」です。エネルギーがまだまだ少ないので、少し活動するだけで疲れてしまいます。それも今まで活動したくても体が動かず我慢してきたので、体が動くとなったらすぐ以前のように動かそうとしてしまい、あっという間にエネルギーを消耗してしまうわけです。


この「疲れやすさ」を目安にして活動にブレーキをかけていくと、気力の低下が次第に小さくなり、波も小さくなっていきます。


でもここで、うつ病の人は「気力が出ないのは、なまけ癖がついたからだ」とか「精神力が弱くて動き続けられないんだ」と考えて、活動でエネルギーを使い果たして気力が低下した時に、さらに気力を振り絞って頑張ろうとします。するとどうなるでしょう?


ますます気力が低下し、頑張る気力もなくなるところまで消耗し切ってしまいます。これでは「調子の波」は小さくなるどころかさらに激しくなってしまいます。


こうした悪循環を一つひとつ確かめながら「活動と休息のバランス」を身につけていくのも心理カウンセリングの大きな役割の一つです。


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